昇進の思い出

以前いた会社で僕は事業部の長をしていた時期がある。
その時の僕は社員としての身分はヒラだった。
ブランドを一から立ち上げて、長い間利益を出す事が出来なかった。
毎日懸命に働き、ある時やっと遅咲きの花が咲いた。

ある時、社長が僕に仰った。

社内規定で今回は昇進させる事は出来ない。
ただ、君もよく頑張ってくれたのは分かっている。
僕としては、特例で昇進させても良いと思っている。
でも、君がそれでは本意ではないと思うがどうか?

僕は戸惑った。

その以前から僕は若干いじけていた。
何でこんなに頑張っているのに、昇進させてくれないんだ。
他の役付きの奴らより、僕の方が何倍も頑張っているのに。
僕は社内営業が苦手だったので、それもあるのかと、正直腐っていた。

そして意味なく、このままヒラのまま誰よりも利益を上げてやる!
といつしか思っていた。

僕は社長が、何故僕にそういう話をされるのか、考えあぐね、
返答に困り、次回に必ず実力で昇進する事を誓ったのを覚えている。

そして半年後の昇進のタイミングで、きちんと規定に基づき
作り上げた利益を元に、僕は昇進を果たした。

きちんとルールに基づいた信賞必罰がそこにあったのである。

今思うと、あの時の社長の提言のおかげで、僕は現在真っ当な道を
歩めている事を実感している。

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