ブラックジャックという漫画について

最近アマプラで2003年版のアニメのブラックジャックを見ているが、、

正直言って、駄作である。

ブラックジャックという至高の作品を全く理解してない人間が作っていると断じざるを得ない。
監修は手塚眞氏、あの偉大なる漫画家・手塚治虫氏の子息ではあるのだが。

ブラックジャックとは「人間の命とは永遠ではない」という事を訴える漫画である、と僕は思う。

命とは永遠ではないからこそ、それに抗う、だがそれが本当に正しい事なのか、医者としての自分は無力なのか、そういう人間の姿を、医療免許を持たない天才外科である間黒男ことブラックジャックが悩み悶える、それが当作品なのである。

バッドエンドにて、命の大切さを視聴者や読者に考えさせる、訴えるのがブラックジャックだったはずが、全てがハッピーエンド、真面目にやった者は必ず報われる、、それではダメだと思う。
正直当アニメと原作の乖離は甚だしく、冒涜にも近しい。

ブラックジャックが訴えるのは下記の2つだ。
ふとした時に溢れ落ちてしまう刹那な時を、悔やんでも決して取り戻す事の出来ない瞬間を、大切にしなくてはいけないという戒め。
大切な者を失った時に気付く、命とは永遠ではなく、だからこそ一度きりの人生を誠実に懸命に生きなくてはいけないという自分の人生への真摯さ。

「人間の命とは限りがある、だからこそ美しい」その普遍の真理を訴えるからこそ、当作品は時代を越えて光り輝くのである。

ブラックジャックは「命の芸術家」などではなく、ただ、命というかけがえのないモノへの対峙に悩む、ただの一個の人間の姿を描写した漫画である、と僕は考える。

ただ、当アニメOPのJanne Da Arcの「月光花」は本来のブラックジャックの世界観をよく表した名曲であると思う。

かけがえのないモノ、それを無くしてしまった刹那さ、だからこその後悔、、切ないメロディと歌詞によく表現されていると思う。

名曲と名作のマッチングは素晴らしい。

だからこそ、当アニメが正直もったいないという思いが強い。

バッドエンドだからこそ、人々の心に訴えるモノを恐れてはいけない。

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