爆勝宣言よ、永遠なれ

7月11日は破壊王・橋本真也の12回目の命日。
彼の直線的で一本気で無骨なファイトスタイルが好きだった。
殴られても、蹴られても前に突き進む、肉を切らせて骨を断つではないが、そういうクレバーではない彼が大好きだった。
彼は、一時期低迷し、復活を期した試合の相手に天龍源一郎を選んだ。
その試合は僕は橋本真也というレスラーのベストバウトだったと思う。
橋本が今持てる全てのモノを己の技に込めて、天龍にぶつける。
天龍は真正面から受け止め、全て跳ね返す。
そして、天龍の渾身のパワーボムに橋本は沈む。
試合後の控室で敗者橋本は弾けるような笑顔でこう語る。
「俺も天龍源一郎のようなおっさんになれるかな」
そこにはこの上ない充実感があったに違いない。
しかし、彼にその時は来なかった。
享年40歳。
プロレスは人生。
彼はそのスタイルと同じように真っ直ぐに人生を駆け抜けた。
もうリングで橋本のテーマ曲である「爆勝宣言」が聴けなくなって12年が経ったという現実が悲しい。
彼が言った「破壊無くして創造無し」という言葉も今は虚しい。
でも、この曲を聴くと今でもあの天真爛漫な笑顔と、リングに立つとがむしゃらに猪突猛進する、そんな橋本真也というプロレスラーを思い出す。
今のサラリーマンみたいなレスラーには感じさせない、特別な何かが彼にはあった。

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