かって満州に存在した大学について

満州という地名をご存じの方が少なくなってきているように感じるので記す。
国策にて領土拡大を夢見た、かっての日本政府が中国東北部に建国した傀儡国家、それが「満州国」である。

そこには国家というモノに翻弄された数々の人間の人生が存在している。
終戦の日を迎えるにあたって、過去を振り返るのは、我々日本人全ての義務であると僕は考える。
人には必ず歴史がある。

今日は名著を紹介しながら、確認したい。
満州に存在した、満州建国大学について記されている。

五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後 (集英社文庫)

戦中、軍部が満州で開校した「五族協和」を是とした国策大学。
ただ、そこに集いし各国の若きエリート達は、大人達の思惑をよそに戦中という特殊時期においてさえも、自由闊達に自国、アジア、世界の現状と将来像を胸襟を開き、語り合ったという。
その大学が持った特殊さゆえに、戦後不遇の時を過ごした元学生達もいたが、その時でさえも捨てなかったのは大学時代に学んだ気概、誇りではなかったろうか。

自分を捨てるという事は悲しいが、簡単な事だ。
逆は苦しく、でもそれこそが生きるという事なのだと僕は思う。

彼らに今の日本の若者はどう映るのだろうか?
気骨溢れた生き様を経た、彼らの言葉をもっと聞きたい。

我々はもっと歴史から学ばないといけない。
強く、重く、そして優しい、、この本の登場人物に共通するアイデンティティ、これが人間の人生なのだと僕は思う。

僕は悩みや苦労を安易に口にする事を好まない。
そうしない事で、まだまだ自分が成長していけると信じている。

軽薄で、刹那な生き方が横行している現在かもしれないが、このような本が日本で刊行されている素晴らしさに感動したい。
是非、読んでいない方にお勧めしたい。

著者の三浦英之さんは素晴らしいジャーナリストだ。
こういう人こそが真のルポライターだと思う。
いくつか著作があるが、そのどれもが素晴らしく、読むたびに私の心を揺さぶる。

太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密 
(こちらもおススメ)

満州建国大学については、下記動画を観ると更に理解が深まります。

消えた大学 幻の満州の夢「五族協和」を理想に集ったエリートたち 【戦争証言】

【歴史から消えた大学】朋友~友好の橋を架けた青年たち~ 日本・中国・朝鮮・ロシア・モンゴル…満州国の建国大学で学んだ各国のエリートたちが日中両国の歴史を大きく動かした【テレメンタリー】

【五族協和】満州国の“幻の大学” 歴史を動かす学生たち【戦後77年】

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