「売る努力」とは何か?
長くアパレルの世界にいると、単なる営業や発信のことではないと分かってきます。
それは、相手と信頼を積み上げ、続ける力を持つこと。
“売る”とは、信頼を維持するための努力のことなんです。
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■1.“売る努力”とは、信頼を続ける努力
アパレルの営業は、華やかに見えて、実際は地味な仕事の連続です。
その中で一番大切なのは、売り先も買い先も、どちらも継続的に利益を出せる関係を作ること。
どちらかだけが得をしている関係は、いずれ続かなくなります。
売る側が無理をしてもダメ。
買う側が損をしてもダメ。
どちらもちゃんと“続けられる”形を保つのが、本当の営業。
継続的に利益を出し続けること。
それができない営業マンは、結局どちらの信頼も失う。
■2.最初に教えられたこと ― 「報告と現実を一致させろ」
僕がこの世界に入って最初に教えられたことがあります。
「お客さんが言っていることと、
自分が会社に報告している内容を一致させろ。」
これが出来ない営業マンはダメだ、と。
つまり、営業の仕事は“通訳”なんです。
お客さんの意図を正確に社内へ伝える。
そして、社内の考えを正しくお客さんに返す。
どちらかがズレた瞬間、信頼は壊れる。
数字よりも、報連相よりも、まずは「伝える精度」。
それが営業の基礎なんです。
■3.「売る努力」とは“誠実さの継続”
売る努力というのは、結局のところ、誠実さを続ける努力です。
短期的な売上ではなく、長く取引できる関係を築けるか。
一度でもごまかしたり、都合の悪いことを隠したりすると、
その瞬間はうまくいっても、次はなくなります。
お客さんは、完璧さよりも誠実さを見ています。
だから、正直であることをやめた営業は、
どんなに口がうまくても、信頼を積み上げられない。
■4.続く取引は「信頼の循環」
いい関係というのは、
売る側も、買う側も、お互いに気持ちよく利益を出せる関係。
その循環が続く限り、会社もチームも安定します。
どちらかが限界を超えるまで我慢している関係は、長く続かない。
だからこそ営業は、
「相手の立場」「社内の状況」その両方を理解し、
無理なく続くラインを常に探ることが仕事です。
売る努力とは、利益ではなく“関係”を設計すること。
■5.結論 ― 売る努力の本質は「信頼の翻訳」
結局のところ、営業の本質は「翻訳」です。
相手の言葉を正しく理解し、会社の想いを正しく伝える。
その間で、利益と信頼をどう両立させるかを考える。
それができる人だけが、
長くお客さんに「またあなたから買いたい」と言われる。
売る努力の中身は、信頼を翻訳し続ける努力。
そして、売り手・買い手の両方が幸せでいられる関係を作ること。
それが、今も昔も変わらない“本当の営業”だと思います。
